社会の片隅から

これまで「中国女性・ジェンダーニュース+」で取り上げてきた日本の社会や運動に関する記事を扱います。

WAN「コメント投稿規程」に関する意見

先月から、ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN) のサイトの一部記事に、facebookコメントの形で、コメントを付けることができるようになった。今後はWANサイトに記事を投稿する際、コメント欄を設置するか否かを選択できるようになったそうだ。また、自らが以前書いた記事についても、コメント欄を開設することができるようになった。

WANサイトの双方向性を拡大することは、私もWANの会員として以前から要望してきた点でもあり、今回の措置はWANサイトの発展にとって歓迎できる。

ただし、私は、「コメント投稿規程」の一部に疑問を感じたので、以下の意見をWANにお送りした([ ]内は、このブログに掲載する際に補足した)。

「コメント投稿規程」に関する意見
遠山日出也

このたびは、WANサイトのコメント欄開設、おめでとうございます。私もさっそくコメントを少し書き込ませていただくとともに、私が以前書いた記事にもコメント欄を開設していただきました。

ただ、今回作成なさった「コメント投稿規程」について、私は、その一部に疑問を感じた点やもう少し丁寧に書いた方がいいのではないかと思った点がありましたので、以下、私の意見を述べさせていただきます。

「コメント投稿規程」には、「以下のようなコメントは、削除させていただきます」として、いくつかの類型のコメントが挙げてあります。私は、そのうち、以下の3つの類型に関する記述については、若干改善の余地があるように思いました。

(1)「誹謗中傷、団体や個人への攻撃にあたると判断したコメント」について

この箇所は、もう少し丁寧に書いたほうがいいように思います。「誹謗中傷」であるか否かは、「事実に反する」ことなどが基準になるのだろうと思いますが、団体や個人への「攻撃」と、(掲載が認められる)「批判」との区別が、いささかわかりにくいと思うからです。

たとえば私は、「攻撃」ではなく、掲載してもいい「批判」であるためには、以下のような条件が必要ではないかと思っています。
 ・個人や団体そのものを攻撃するのではなく、あくまでも個人や団体の具体的な「主張」や「行為」に対する批判であること。
 ・事実と論理に基づいていること。根拠薄弱な憶測ではないこと(「誤解かもしれませんが……」といった断り書きを付ければ、若干許容範囲が広がるといったことはあるかもしれませんが)。
 ・具体的な個人名・団体名を出して批判する場合は、その必然性・公共性があると認められること。

ご承知のとおり、現在、インターネット上では(でなくとも?)、「誹謗中傷」と「批判」や「意見」との区別をすることが、きちんとしたルールとして確立しているとはいえません。ですから、その区別をルールとして確立させること自体が、インターネットにおける運動の一つの課題なのだろうと思います。この点は、「コメント投稿規程」だけで解決できることではありませんし、「コメント投稿規程」は、あまり長々と書くわけにいかないという事情もあると思います。

しかし、インターネット上のあるべきルール確立のためには、「誹謗中傷、団体や個人への攻撃にあたると判断したコメントは削除する」というだけでは、簡単すぎるので、もう少し説明があった方がいいと思うのです。

(2)「差別的発言」について

第3回WAN総会で上野千鶴子理事長がサイトの双方向性をすすめる上での第一の困難として挙げられた「バックラッシュ」に対する対策という点から言えば、一般的に「差別的発言」と書くだけではなく、たとえば、「民族、宗教、性別、性的指向などに関する差別的発言」と具体的に例示しておいた方がいいと思います。これはすなわち、最近ますます激化している「ヘイトスピーチ」をネットから追放していくということだと思います。

(3)「WANの運営などに関わるもの(WANへのご意見ご質問)」[は「お問い合わせ」へどうぞ]について

「運営など」という言葉で具体的にどの範囲の事項を指しているかが、いま一つわからないのですが、このようなコメントを一律に削除対象にすることは、疑問です。まず、記事のテーマがWAN に直接関係するものでしたら、WANに関する意見(「運営など」に対する意見を含めて)が書き込まれるのは当然ではないかと思います。たとえば「理事長のあいさつ」ですとか、昨年や今年のシンポジウムのように、「NPO」や「ウェブ」のような、WANの活動に関する事項をテーマにしている記事に対しては、WAN(の運営など)に関するコメントが書き込まれることは、むしろ重要なことではないでしょうか? また、たとえそうした記事でなくとも、記事の内容と関係があるコメントでしたら、「WANの運営などに関わるもの(WANへのご意見……)」だからといって、削除対象にすると、自分の団体に対する意見や批判をタブーにしていると解釈されるように思います。他の団体に対する意見や批判は、とくに問題がないかぎり掲載されるのですから、二重基準になっているのではないかという疑問も出てきます。

この項目は、「WANの運営などに関わるもの(WANへのご意見ご質問) は『お問い合わせ』へどうぞ」と書かれていますので、「お問い合わせ」コーナーにメールを寄越してほしい、ということに力点があるとも読めます。しかし、「お問い合わせ」コーナーにメールが寄せられたとしても、すべての意見や質問には答えきれないでしょうし、私の今日までの経験では、質問をしても答えが返ってこない場合のほうがむしろ多いのです。実際、「意見」の場合は、(一つの意見としては参考にするけれども)直ちに回答するのは、難しい場合が多いと思います。また、コメントをする目的は、直接担当者に答えを求めるというだけでなく、他の方の意見もうかがいたいとか、みんなに聞いていただきたいとかいう場合もあります。また、直接はWANに対する意見であるとしても、実際はWAN以外にも関係があるような意見も多いのではないでしょうか? ですから、回答はできないまでも、一つの意見としてオープンな場に掲載しておくことには意義があると思います。もちろん誤解などは訂正する必要はありますが。

私としては、「WANに対するご質問、ご意見は、『お問い合わせ』へどうぞ」と書くのはいいと思いますし、「『お問い合わせ』コーナーにお送りいただけない場合は、返答を致しかねます」といった注意書きを書いてもいいと思いますが[といっても、できればコメント欄で回答したほうがいいと思う]、「WANに対するご質問、ご意見」を「削除」するような書き方はしない方がいいと思います(もちろん他の点で問題があれば、他のコメントと同じように削除すればよい)。

また、以上の3点すべてに関わる問題として、デマの類も、一律に削除するというより、よくある偏見や誤解でしたら、きちんと反論することのほうに意味がある場合もあると思います。きちんと反論するには、それだけの力量や手間が必要ですので、直ちに実現可能なことではないかもしれませんが、一つの方法として今後考慮していただければいいと思います。

コメント欄については、おそらく今までもさまざまなご議論やご苦労があって、今回、開設が実現したと思いますし、まだ試行錯誤の状態でいらっしゃるのだと思います。ですから、私などの意見がお役に立つかどうかわかりませんが、現時点での私の意見をお送りさせていただきました。

2013年5月21日

文中で言及している「今年のシンポジウム」とは、5月26日(日)の13:30~16:30に、名古屋市男女平等参画推進センター(アクセス)で開催される「NPOのチカラ2013―それは「女縁」から、はじまった!」(主催:NPO法人参画プラネット、共催:NPO法人WAN)のことです。当日はライブ配信も決定したそうです。こちらは、ぜひ多くの方がご参加(またはご覧)ください。

なお、WANサイトの一般の「投稿規程」に対する私の意見は、昨年4月に「投稿規程に関する要望」として提出していますが、私が見るかぎり、現時点でも、投稿規程は以前ととくに変わっていないようです。

なお、私のこれまでのWANに関する意見などについては、「中国女性・ジェンダーニュース+」の「WAN、WAN争議」カテゴリーをご覧ください。WAN争議関係については、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」というリンク集も作成しています。

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遠山日出也
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これまで「中国女性・ジェンダーニュース+」の中で取り上げてきた日本の社会や運動についての記事をここに書くようにしました。ご連絡は、tooyama9011あっとまーくyahoo.co.jpにお願いいたします。

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